Episode 53 Bounty Sword 「真実の戦い」

ラインメタル王国首都

 

テティス

「急いで ソード!」

「あの恐ろしい 超機神は

 ここに むかったのよ!!」

「早くしないと 首都が‥‥

 いえ 世界が

 あいつに ほろぼされちゃう!」


「これで 長かった たびは 終わるのか」

 

「謎の声に みちびかれて

 オレは ラインメタル王国の

 首都へと まいもどってきた」

 

「フュリスとのたび立ち 数か月

 そうだ オレのたびは

 この地から 始まったのだ‥‥」

 

「そして今 この地で

 全てが 終わろうとしている‥‥」

 

「この じごくの 戦場で‥‥」


Episode 53

 

Bounty Sword

 

「真実の戦い」

 

テティス

「街が‥‥!? 首都が‥‥!?

 まるで ガレキの山だわ!」

 

デトニクス

「‥‥ソードか‥‥?」

 

ソード

「‥‥デトニクスか? いったい

 ここで 何があったんだ!?」

 

デトニクス

「‥‥おそかったよ‥‥何もかも」

「‥‥情けない 話だぜ

 コルツも‥‥やられちまった」

「‥‥ちくしょう‥‥ヘンメリーも

 コルツをかばって‥‥いっしょに‥‥」

「‥‥おそかったんだよ‥‥全て‥‥」

 

ソード

「‥‥おそかっただと?」

 

デトニクス

「騎士団も‥‥国防軍も‥‥

 ‥‥みんな‥‥たった数分で

 やられ‥‥ちまったよ‥‥」

「‥‥勝てない‥‥人間には‥‥

 決して‥‥あの‥‥

 バケモノ‥‥には‥‥勝てない」

「しかし ソード‥‥」

「アンタ‥‥な‥‥ら‥‥」

 

ソード

「この首都は‥‥超機神が!?」

 

マクベス

「その通りだ ソード‥‥

 これが超機神の力 神が作りし

 最強の兵器の はかい力なのだよ」

 

テティス

「‥‥超機神!?」

 

ソード

「‥‥マクベスか!?」

 

マクベス

「私のメッセージを 聞き入れて

 よく 帰ってきてくれたな‥‥」

 

ソード

「連邦の王城に ひびいた あの声は

 お前の物だったのか マクベス‥‥」

 

マクベス

「いかにも 私の声だ

 しかし この超機神の力を見ろ

 すばらしいとは 思わんか‥‥?」

「連邦の皇帝を 道具にしたて

 この力を 手に入れた かいが

 あったという物だな ソード」

 

ソード

「どういう事だ?」

 

マクベス

「お前が 神の代理人で あるように

 この私も そうなんだよ

 ただし 悪神の代理人だがね‥‥」

 

ソード

「悪神の‥‥代理人‥‥」

「‥‥なるほどな だからこそ

 超機神復活に 必要な

 フュリスを オレに 探させた」

 

マクベス

「ふふ‥‥ お前が 小むすめを 連れて

 反乱軍などに 参加するのは

 全くの けいさん違いだったがね」

「だが もう どうでもいい‥‥

 それより 見るがいい!

 この超機神の 恐るべき力を!」

「わが ラインメタル王国は

 神が与えし この力を持って

 今こそ 世界の頂点に立つ!」

「‥‥もちろん 神に選ばれた

 この私が 統治する

 新たな ラインメタル王国がね!」

 

ソード

「今 ようやくわかったよ‥‥」

「神が何者なのか 神が なぜ

 この世から 消え去ったのかが‥‥」

 

マクベス

「‥‥何を言っている ソード?」

 

ソード

「神はオレ達より 少しばかり

 頭のいい 連中だったんだろう

 だが それだけの事さ‥‥」

「オレ達と 大して変わらない

 戦さ好きの 人間だったんだ‥‥」

「自分達の作った 恐怖の兵器で

 殺し合い うばいあい そして

 最後には ほろぼしあった‥‥」

「そこにあるのは ただの いぶつだ」

「さびついた剣や ヤリと同じ

 土にうもれていた

 大昔の いぶつにしか すぎん!」

 

マクベス

「それが 神の代理人として

 戦ってきた お前のセリフか?」

「黄道十二神の 報奨の力である

 バウンティ・ソードを手にして

 戦ってきた お前の言う事か?」

 

ソード

「‥‥神は とうの昔に死んだ!」

「このバウンティ・ソードも

 ただの 武器にしか すぎん!

 お前を討つための 武器にしか!」

 

ロジャー

「神のためでは ないぞ!

 われら反乱軍は 人のためにある!」

 

ミランダ

「私たちの神は 心の中にあります

 平和をいのる 人々の心の中に!」

 

シュタイア

「過去の いぶつの ために 殺し合う‥‥

 ならば! そんな いぶつは

 オレの手で たたきこわしてやろう!」

 

アテナ

「神が殺す事を 求めるなら

 私は その神を 斬る!

 ‥‥人として 生きるために!」

 

ロブン

「超機神‥‥ 自分の国を

 燃やすような兵器は もはや

 兵器ですら ありますない‥‥」

 

ルーネ

「希望があればこそ 私は

 連邦にも 参加した しかし

 この超機神には 希望などない!」

 

マウザー

「巨悪には 拳をもって 立ち向かえ

 古き言い伝えは まさしく

 この時のために あったようだな!」

 

リュウビ

「ソードどの‥‥

 私たちも ともに戦いますぞ」

 

ツキカゲ

「ククク‥‥ 超機神だと‥‥?

 オレが好きなのは 強い人間だ

 強い心を持った 人間だけだ‥‥」

 

ファウスト

「運命‥‥ そうですね‥‥

 これがもし 運命ならば‥‥

 私たちは 自由のために 戦います」

 

アジャックス

「‥‥マクベス 十年前の お前は

 たしかに この国を 愛していた」

「その愛するがゆえの 強き思いが

 お前を 悪神の代理人に したてた」

「それは わかる!」

「だがな 守るべき街を 燃やし

 神の力を ふりかざす

 今の お前は ただのはかい者だ‥‥」

 

マクベス

「‥‥神は‥‥死んだだと?

 ならば この私が 神となろう!

 新たな神となり 世を統治する!」

「この 超機神の力が あれば!」

「超機神の 真なる力を見よ!」

 

テティス

「超機神の姿が‥‥変わった!?」

 

マクベス

「‥‥超機神は 進化する兵器!

 死んだ人間の 生命をくらい

 より強力に 変形していくのだ!」

「‥‥ソードよ

 神の怒りを 知るがいい!」

 

マクベス

「‥‥きかぬよ 全くな‥‥

 しょせん 人の力など

 この程度の物に すぎぬ‥‥」

「‥‥おろかな者どもよ

 この地上から 消え失せよ‥‥」

 

マクベス

「なるほど‥‥ この力で

 連邦軍を ほろぼしたか‥‥」

「‥‥だが わからぬのか?

 力で 打ち勝った者は いつか

 同じく力で ほろぼされる‥‥」

「今が その時だよ ソード‥‥」

 

マクベス

「なかなか しぶとい‥‥

 十年前も こうして

 生きのびたのか ソード?」

「あの時 オレは くやしかったよ

 思うがままに 生きる

 お前や アジャックスが‥‥」

「そして オレが密かに 愛した

  ノルンを うばった お前が

 にくかった! ソードよ!」

 

マクベス

「いい攻撃だ ソード‥‥」

「しかし 待たせたな

 これが超機神の 真の姿だよ」

 

テティス

「ソード! 超機神が!?」

 

マクベス

「‥‥くだらぬ くだらぬ話だ‥‥」

「お前らが えらそうな事を言って

 戦っているのも つまる所は

 ただの じこ満足にしか 過ぎぬ‥‥」

「人のため 民のため そんな大義も

 自分の心情を 正当に見せる

 ただの 言い訳にしか 過ぎぬ‥‥」

「仲間のため‥‥ 友のため‥‥

 友情‥‥正義‥‥愛情‥‥

 どれも くだらぬ じこ満足だ‥‥」

「‥‥私は おろかな人間を

 こえるため 神になるのだ

 人をすて 神として生きる‥‥」

 

ソード

「そいつは違うぞ マクベス」

 

マクベス

「ほほう‥‥?」

 

ソード

「なるほど 人間は 自分勝手な

 生き物でしか ないかもしれん」

「だが 十年前に そして

 今回のたびで オレは

  一人の少女に おしえられた‥‥」

「自分自身が そう思うから

 いつも 自分の心に

 正直に 生きていたいから‥‥」

「じこ満足 そうかもしれん‥‥」

「だが そうやって

 オレたちは 生きてきたさ」

「じこ満足であろうと 友を作り

 仲間をいたわり 平和をそだて

 明日の 安らぎだけを祈った‥‥」

「決して 大義などでは ない

 ただ仲間に 死んでほしくないから

 戦いを見るのが いやだから」

「それだけで 十分だ!」

「オレは オレ自身のために

 戦っている‥‥

 もちろん 神の代理人でもない」

「こいつは オレ自身に

 決着をつけるための 戦いだ!」

「お前を 許せないという

 オレ自身の 心情に

 決着をつけるための 戦いだ!」

 

マクベス

「そんな 自分勝手な心が

 世界を ほろぼすと なぜわからぬ‥?」

「ならば 死ぬがいい‥‥

 マスター・オブ・ソードよ

 不敗の聖騎士は ここで敗れるのだ」

 

マクベス

「かつて この地上の文明 全てを

 燃やしつくした 超機神の力

 その目で 見るがいい‥‥!」

 

マクベス

「‥‥ムダだ 全くのムダだ

 そんな攻撃が 何になる?」

 

ソード

「さすがに 強い‥‥」

 

ロジャー

「われわれ仲間は 今まで

 不可能に 挑み続けてきました

 今度も 勝てるはずです!」

 

ミランダ

「祈りましょう 神に!

 心の中の 私たちの神に!」

 

シュタイア

「‥‥あきらめるな ソード!

 自分が 負けたと思うまでは

 負けた事には ならないぞ!」

 

アテナ

「人を 生かすための 戦い

 それが じこ満足ならば

 私は それでも かまわない!」

 

ロブン

「大地の気は われらに あります

 人として戦う われらに‥‥」

 

ルーネ

「‥‥涙は悲しみ 笑いは平和

 それ以上の リクツなど いらぬ!」

 

マウザー

「‥‥まだだ! オレ達の力は

 こんなもんじゃ ないはずだ!

 ともに戦ってきた オレ達の力は!」

 

リュウビ

「‥‥われらは 負けぬ」

 

ツキカゲ

「ククク‥‥ 強すぎる!

 しかしソード オレがほれこんだ

 アンタは もっと 強いはずだ!」

 

ファウスト

「ソードさん あなたの話を

 聞いて 私も わかりましたよ‥‥」

「運命なんて物は 存在しない

 あるのは 生きようという

 自分たちの 強い意志だけです!」

 

アジャックス

「十年は やはり長かったな‥‥」

「あの時オレ達は 国のために戦った

 しかし今は こうやって

 自分のために 戦っている‥‥」

「この戦いに うち勝つために

  オレ達は この十年の時を

 すごしてきたと 思わないか‥‥?」

「‥‥なぁ ソード‥‥」

 

テティス

「ソード! まだよ!

 まだ 負けたわけじゃない!」

 

ソード

「みんな 今しばらく

 このオレに 力を貸してくれ!」

 

マクベス

「‥‥な‥‥なぜだ‥‥!?」

「古代の超兵器 神々の作りし

 超機神が 倒されるなど‥‥!?」

 

ソード

「終わりだよ マクベス‥‥」

「十年前から 続いていた

 オレ達の 戦いは

 今 ようやく 終わるのさ‥‥」

 

マクベス

「‥‥おろかな‥‥人間‥‥よ‥‥

 私は‥‥知っている‥‥

 ‥‥この世界の‥‥どこかには‥‥」

「このような‥‥太古の‥‥兵器が

 ‥‥まだまだ‥‥数多く

 眠って‥‥いるのだぞ‥‥!?」

「お前は‥‥たった一人で‥‥

 ‥‥黄道十二神の‥‥力だけで

 それらに‥‥うち勝つ気か‥‥?」

 

ソード

「一人ではないぞ マクベス」

「自分自身の心に したがって

 平安を 求める者が いる限り

 その者たち全員が 戦う仲間だ」

「そして 人々は

 何が現れても 戦うだろう‥‥」

「たとえ じこ満足で あろうと

 より多くの 幸せを願って‥‥」

 

マクベス

「‥‥それが‥‥人間ならば‥‥

 お前らは‥‥いつの日か‥‥

 ‥‥必ず‥‥ほろびるだろう‥‥」

「人が‥‥人を‥‥越えねば

 ‥‥ならぬ時代は‥‥間もなく

 迫って‥‥きている‥‥のだ‥‥」

「わかって‥‥いるはずだ‥‥」

「お前は‥‥は‥‥わかって‥‥」

「‥‥」

 

テティス

「終わったわね ソード‥‥」

 

ソード

「ああ‥‥」

 

テティス

「‥‥十二神の指輪が!?」

 

黄道十二神

「‥‥われらが選びし 代理人よ

 そなたは 苦なんを はねのけ

 見事 そのつとめを 果たした‥‥」

「われらは 大いなる眠りにつく

 だが 再び 太古の兵器の封印が

 解かれる時 われらを 求めよ‥‥」

「われらは 歴史の守りなり‥‥

 果てない時を こえて

 人の世を 守る者なり‥‥」

 

テティス

「‥‥いいの ソード?

 指輪も バウンティ・ソードも

 光になって 消えていったわ‥‥」

 

ソード

「‥‥いいのさ 国が燃えても

 神とやらが 飛び去っても

 人は残る それだけで 十分だ」

 

テティス

「けっきょく 黄道十二神って

 何だったのかしら‥‥?」

 

ソード

「‥‥そうだな たぶん」

「大昔の連中が 残してくれた

 人が 生きて行くための

 ただの道具‥‥ってとこかな」

 

フュリス

「終わったのね 何もかも」

 

テティス

「‥‥フュリス!?

 こんな所まで きたの!?」

 

フュリス

「‥‥ひどいじゃない!

 私を あのまま

 王城に 残して行くなんて!」

 

ソード

「‥‥そいつは 悪い事を

 しちまったかな お嬢ちゃん」

 

フュリス

「‥‥バッカじゃないの!」

「まったく もぅ!」

「でもね 前に 言ったじゃない

 私が イヌかネコだったら

 良かったのになぁ‥‥って」

「でも今は そうでなくて

 良かったと 思ってるわ‥‥」

 

ソード

「‥‥何でだ?」

 

フュリス

「だって 私がイヌだったら

 きっと今は ちぎれるくらい

 しっぽを ふっている はずだもの」

 

ソード

「いい子だな フュリス」

 

フュリス

「私は 元から いい子よ!

 しがない 賞金かせぎさん!」

 

ソード

「よし いい返事だ‥‥」

「さあ もう一度 連邦に戻ろう

 これで 全部が

 終わったわけじゃ ないんだ!」

 

ロジャー

「連邦軍の中には まだまだ

 戦っている部隊も あります

 無意味な戦いを やめさせねば!」

 

ミランダ

「そうですね 私たちが

 この世に 生き続ける限り

 それは 戦いなのですから‥‥」

 

シュタイア

「オレの手で ロムルスの都を

 もう一度 作ってみせるさ」

 

アテナ

「この戦争で 住む家をなくした

 人達が 大勢います

 そんな人を すくわなければ‥‥」

 

ロブン

「私の国に 帰る前に まだ

 知っておきたい 事が あります

 平和のための 数多くの事を‥‥」

 

ルーネ

「連邦の残存兵力と 戦っている

  抵抗部隊も 数多いだろう‥‥

 彼らを 一人でも多く すくいたい」

 

マウザー

「やれやれだ! 連邦の はなした

 ドラゴンどもも あちこちで

 暴れ回って いるようだしな!」

 

リュウビ

「‥‥そうですな

 私も ロムルスの仲間たちの

 英霊を とむらわねば‥‥」

 

ツキカゲ

「‥‥ククク これ以上は

 タダ働きだが いいだろう

 アンタの強さを 見込んでな‥‥」

 

ファウスト

「運命などに しばられず

 私も これからは 自分の

 信じる道を 進みましょう」

 

アジャックス

「‥‥そうだな ソード」

「やり残した事は 数多い

 十年後に くやまない ためにも

 今 できる事を やりとげよう」

 

ソード

「‥‥さあ 行こう!」

「今まで たどった 戦いの道を

 今度は オレ達の

 自分自身の 戦いのために!」